体力中等度以上で、喘鳴を伴う呼吸困難があり、浮腫があり、顔色が悪く、息切れ、動悸、ぜんそく、腹部膨満があって、尿量減少、口渇のあるものに用います。心不全や心臓性ぜんそく、心臓弁膜症、心内膜炎、慢性腎炎、ネフローゼなどに応用します。
木防已湯(もくぼういとう)の効能
スポンサードリンク
適応される主な症状
- 慢性腎炎
- 心不全
- 浮腫
配合生薬
配合生薬の効能
防已(ぼうい)
防已には鎮痛や抗炎症、抗アレルギー作用があります。漢方では利尿、鎮痛薬として関節浮腫、腹水、神経痛、関節リュウマチなどに処方されます。
アルカロイド成分シノメニンに抗炎症作用、抗アレルギー(ヒスタミンの遊離阻害)、抗体産生抑制、鎮痛作用の他、血圧降下作用が認められています。
桂皮(けいひ)
桂皮には、発汗作用 健胃作用 のぼせを治す作用 鎮痛作用 解熱作用があります。漢方では、頭痛、発熱、悪風、体痛、逆上などを目的に使います。
主成分は、カツラアルデヒドを含む精油です。
風邪をひいて胃腸や体が丈夫でない人は葛根湯(かっこんとう)でなく、桂皮を配合した桂枝湯(けいしとう)を服用すると良いでしょう。
民間療法として桂皮は健胃、整腸に用いられ、桂皮を煎じて食前に飲みます。また桂皮の葉を陰干しにし布袋に詰めて風呂に入れると、精油の作用で体をあたためる効果があります。
人参(にんじん)
漢方治療において最も繁用される有名生薬の一つで、古くから高貴な万能薬としてよく知られています。漢方では強壮や胃腸衰弱、消化不良、嘔吐、下痢、食欲不振などの改善を目標に幅広く処方されます。
この生薬の特異成分であるダマラン系サポニン(主としてギンセノシドRb、Rg群)は動物実験で、強制運動に対する疲労防止、および疲労回復、抗ストレス作用、ストレス潰瘍防止、免疫活性およびアンチエイジングなどを示し、各種機能の低下を抑制する作用が認められています。
その他、抗炎症、抗悪性腫瘍、肝機能改善作用、血糖降下作用、血中コレステロールおよび中性脂肪の低下作用なども確認されています。また、記憶障害改善(抗痴呆)効果が示唆されています。
石膏(せっこう)
石膏には、解熱作用 消炎作用 止渇作用 鎮静、鎮痙作用、抗アレルギー作用、収斂作用(組織を引き締め作用)があります。漢方では、利尿、激しい喉の渇き、体全体の熱さましを目標に処方されます。
成分は、主に含水硫酸カルシウム、微量に二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄があります。
スポンサードリンク
むくみ(浮腫)に処方される漢方薬
実証
- 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
むくみや肥満症、便秘、そして動悸、肩こり、のぼせなどの高血圧症状に用います。
中間証
- 茵ちん五苓散(いんちんごれいさん)
二日酔い、肝炎などによるむくみに用いられます。口の渇き、尿量減少、軽い黄疸がある場合に効果的です。 - 五苓散(ごれいさん)
体力や体質に関係なく、むくみ、急性胃腸炎、腎臓病、糖尿病などがあり、のどが渇き、尿量が減少するときに用いられます。 - 柴苓湯(さいれいとう)
のどの渇き、尿量減少、胸脇苫満、食欲不振などの症状がある人のむくみに用いられます。
虚証
- 六味丸(ろくみがん)
疲れやすく、口の渇きがある場合の排尿困難によるむくみに用いられます。 - 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
疲労、手足の冷え、足のむくみや脱力感とともに足腰の痛みや口の渇き、排尿困難などがある人に用います。 - 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
女性のむくみに用いられます。めまい、動悸、血圧異常など、肥満や動脈硬化にともなう症状や貧血、更年期障害、月経不順、疲労倦怠にも使われます。 - 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
肥満症、とくに水ぶとりで汗をかきやすく、むくみやすい場合に用いられます。
漢方薬は、自分の証に合ったものをお選び下さい。
「証」とは体力、体質、症状などから患者さんの状態を総合的に観察した診断結果のことです。
- 実証は生理機能が高まった状態を意味して、外見は健康そうに見えます。
- 虚証は体力がなく、生理機能が衰え、抵抗力も低下した状態を意味します。
- 中間証は実証または虚証のどちらも偏らず、それぞれの特徴を半分ずつもつ場合を意味します。
「証」の判定は証の自己判定テストご利用ください。
スポンサードリンク